SOUND

家族たちのあの笑顔は、もう血の海の底に。

また、守れなかった。

いったいこの手は、
この身は何のためにあったのか。

もしあの時、ああしていれば。

もしオヤジさんの言葉を理解していれば。

どうにもならない後悔が
脳髄と喉の水分を奪っていく。

血の海に沈む家族たちを前に
私は立ち尽くすしかなかった。

歯を食いしばり握りしめた拳に行くあてなどない。

私はまた、守れなかった。

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