SOUND


あの日からずっと、
鍵盤と同じモノクロの日々が続く。
相棒がこの店に現れなくなって、
どれほどの夜が過ぎただろう。
自分の想いをピアノの旋律に、
リリックに乗せても、
それを聴く者は誰一人いない。
俺は、自分の音楽を捨てるつもりはない。
ただ、相棒とやれなきゃ意味がない。
捨てなくていいものもある。
あの人も俺にそう教えてくれたから。
鍵盤蓋を閉じた時、窓の外に降る雨だけが
俺に拍手を送っているようだった。
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