SOUND


息を上げ、僕は裏路地を走っていた。
涙があふれ、吐き気がこみ上げる。
あともう少し僕の身体が動いていれば。
いや、あの日ちゃんと治験を
止めてあげられていたら。
那由汰くんが最後に僕に向けた笑顔が
心臓を抉る。
自分の事を『友達』だと言ってくれた人を、
僕は見捨ててしまった。
ごめんなさい。ごめんなさい。
自分の為か那由汰くんの為か分からない言葉を
絞り出しながら僕は逃げるしかなかった。
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