SOUND

帰り道は、もうどこにも見つからない。

兄とピアノを弾く、ただそれだけの時間が
幸せだった。

知らない手に引かれて来たこの場所には、
あの優しい温もりはない。

繋いでいたはずの手は、どこへ消えたんだろう。

どうしてオレは、ここに一人なんだろう。

重い扉の先には、
とても悲しい目をした子がいた。

その瞳が映す絶望に、答えを見た。

兄に会える日はもう二度と来ないのだと。

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