SOUND

仄暗い監獄は、8歳の俺を絶望させるには十分だった。

母親の顔は知らない。
父親はどこの誰かもわからない。

唯一信じた大人は、俺を『特別な子』と
持ち上げてから裏切った。

罪を犯した自覚もないまま連れてこられた
監獄で、今日から一生ここで生きていくの
だと告げられた。

窓のない部屋。無機質なモニター。
出入り口に嵌め込まれた頑丈な鉄柵。

それが俺の世界のすべてになった。

乾いた笑いが込み上げてくる。

俺に産まれてきた意味はあったのだろうか。

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