SOUND


母親の顔は知らない。
父親はどこの誰かもわからない。
唯一信じた大人は、俺を『特別な子』と
持ち上げてから裏切った。
罪を犯した自覚もないまま連れてこられた
監獄で、今日から一生ここで生きていくの
だと告げられた。
窓のない部屋。無機質なモニター。
出入り口に嵌め込まれた頑丈な鉄柵。
それが俺の世界のすべてになった。
乾いた笑いが込み上げてくる。
俺に産まれてきた意味はあったのだろうか。
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OFF
