SOUND

<span class="u-font-spacing u-font-spacing--head">『</span>王子様』<span class="u-font-spacing">へ</span>の憧れが、僕の世界を歪めていった。

物心ついたときから、消えない違和感が
胸にあった。

それを押し殺して、周りの『普通』に
無理やり合わせて、そのたびに心が
擦り切れていくような痛みを覚えていた。

やがて不安や疑問ばかりが
無視できないほどに膨らんでいって、

だから僕は一縷の望みをかけて、打ち明けた。

「普通に育ててあげられなくてごめんね」

母が泣きながら放った一言が、
僕に残酷な答えを突きつけた。

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